遺品整理を依頼する際、多くの人が想定していない問題の一つに「金銭トラブル」や「ネコババ被害」があります。故人の財産や現金、貴重品が整理中に紛失したり、誰が持っていったか不明な状況が発生することは実際の現場でも報告されています。このようなトラブルを防ぐには、事前の確認と信頼できる業者の選定が不可欠です。
まず、遺品整理を開始する前に家族間で財産や重要品の有無を明確にしておくことが重要です。故人が残した現金、預金通帳、宝飾品、貴金属、相続に関係する書類、遺言書などは、家族が先に確保し、リスト化しておくことを推奨します。これにより、後で紛失や持ち出しの疑いがかかった際も、何がどこにあったかを明示できます。
また、業者に依頼する際には「作業中に貴重品が見つかった場合の対応ルール」を契約書や事前説明で明記することが非常に重要です。優良な業者は、貴重品を発見した場合すぐに連絡を入れ、写真を撮って記録し、家族立会いのもとで返却する手順をとっています。このような運用が標準化されているかを確認することで、リスクを最小限に抑えられます。
ネコババ被害が問題になる背景には「現金が封筒に入ったまま押し入れの奥にあった」など、発見しづらい場所に大切な品があることが多いという事情があります。そのため、業者に対して「すべての作業を記録(動画または静止画)してほしい」といった要望を出すのも良策です。録画による透明性の確保は、業者と依頼者双方の信頼性を保つうえでも非常に効果的です。
以下のようなチェック項目をもとに、業者との契約時に必ず確認しましょう。
チェックポイント
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確認内容
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備考
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見積書の明記内容
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作業内容と金額の明記
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「貴重品対応」欄があるか
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担当者との面談
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顔合わせの有無と説明
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説明が丁寧で具体的か
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会社の評判
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クチコミや行政登録
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遺品整理士協会などの認定有無
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保険加入状況
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損害保険や賠償保険の有無
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万一の損傷にも対応できるか
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発見時のルール
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金銭・重要物発見時の報告義務
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写真・立会い返却の規定があるか
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金銭トラブルを避けるためには、作業当日の立会いや途中確認も有効です。可能であれば、家族が常時立ち会える時間帯に作業を進めるよう調整しましょう。近隣に住んでいない場合は、遠隔でも確認できるようにLINEやメールでの逐次報告を求めるなどの工夫が必要です。
さらに、金銭や資産をめぐるトラブルは、単に業者との問題にとどまらず、相続人間での誤解・不信感にもつながります。「誰かが勝手に持ち出したのでは」「本当はもっとあったのでは」といった疑念を抱かせないためにも、整理前後の記録保存は必須です。
近年では、トラブル回避のために「遺品整理アドバイザー」や「遺品整理士」の有資格者に依頼する人も増えています。これらの専門家は、倫理的にも法的にも一定の基準を満たした上でサービスを提供しており、業者選定の指標として信頼できます。
費用に関しても、ネコババによる金品紛失は金銭的被害だけでなく、精神的苦痛や家族関係への影響といった「見えない損失」を招きます。そのため、数万円安いだけで信頼性の低い業者に依頼するのではなく、透明性の高いサービスを提供する業者に適正価格で依頼することが最も重要です。
信頼関係を築ける業者に依頼し、事前確認と記録を徹底すること。これこそが、金銭トラブルを防ぎ、安心して遺品整理を進めるための最も有効な手段です。信頼と安心を重視することで、後悔のない遺品整理を実現できます。