遺品整理における契約書では、依頼者や故人に関わる個人情報の取り扱いに関する条項を明記することが必須です。これは個人情報保護法への準拠のみならず、依頼者の信頼確保やトラブル未然防止に直結する重要なポイントとなります。
なぜ個人情報保護条項が必要なのか?
遺品整理業務では、以下のような個人情報が自然と取り扱われるため、保護措置が求められます。
- 故人の郵便物、保険証券、診療明細など
- 家族の連絡先や住所
- 生活履歴がわかる写真や日記、通帳、契約書類
こうした情報が業務過程で閲覧・処分される以上、その取り扱いについての明示的な同意とルールが必要になります。記載がない場合、情報漏れ時の責任が曖昧になり、損害賠償請求へと発展する恐れもあります。
記載が推奨される個人情報条項文例
「当社は、業務上知り得た依頼者または関係者の個人情報について、目的外利用・第三者提供を一切行わず、適切な安全管理措置を講じたうえで業務終了後に破棄または返還いたします」
このように一文であっても、業者の姿勢が伝わるため、依頼者からの信頼を得やすくなります。
また、個人情報保護だけでなく、契約書には以下のような法令遵守に関する記述も加えるべきです。
法令遵守に関する条項の記載例
「本契約に基づく業務の遂行に際して、当社は個人情報保護法、廃棄物処理法、消費者契約法、民法、その他関係法令を遵守し、誠実に対応いたします」
この記載は、作業中の不法投棄や違法な処分行為への抑止効果をもつと同時に、依頼者が業者選定の基準とする上でも大変有効です。とくに近年、廃棄物の不適切処理や反社会的勢力との関係性をめぐる業者の法令違反がニュースになる中で、「安心して任せられる業者かどうか」の判断基準として、契約書の文面がますます重要視されています。
多面的な条項整備を行うことで、契約書としての網羅性・安全性が格段に高まります。
とくに行政機関や弁護士監修のテンプレートを用いることで、これらの記載が漏れなくカバーされているケースが多いため、テンプレート選定時は「法令対応」の記載有無も確認しましょう。